米国から見た日本市場
政治活動

米国から見た日本市場

「日米ヘルスケア・イノベーション・ラウンドテーブル」最後のプレゼンは日本製薬工業協会の岡田安史会長より「創薬力強化に向けた医薬品政策のあり方」についてお話頂きました。「世界の医薬品市場は2016年から直近5年の2021年 […]

「日米ヘルスケア・イノベーション・ラウンドテーブル」最後のプレゼンは日本製薬工業協会の岡田安史会長より「創薬力強化に向けた医薬品政策のあり方」についてお話頂きました。「世界の医薬品市場は2016年から直近5年の2021年までに1.3倍に増加したにも関わらず、日本の市場は0.5%の減少。日本は革新的新薬の特許期間中でも常に薬価の引き下げが行われ、イノベーションの評価が世界と乖離している。国内の未承認薬が増加傾向にあり、薬価抑制政策の延長上では世界水準の革新的新薬へのアクセスが困難になる。従来の枠組みを超えた国民的議論が必要だ。」との悲鳴にも近い現場の声を届けて頂きました。

プレゼンは発表された皆さんの強い熱意により予定よりオーバーしてしまい、30分予定していたディスカッションは15分となりました。テーマは「成長エンジンとしてのライフサイエンス分野をいかに育成するか」と題して、「米国から見た日本市場」今度は逆に「日本から見た米国市場」という切り口でコメントを頂く形でスタートしました。

まず、米国製薬工業協会のデービット・リックス会長から「日本の強みは皆保険制度と教育水準が高いこと。弱点は毎年薬価を下げる制度設計に見られるように、短絡的・柔軟性に欠ける政策に固執していること。その間隙を狙って中国が市場を急成長させている」との発言がありました。次に岡田会長から「米国は、米国保健福祉省のゲーリー氏から発言があったように、平時から感染症に対して備えがあった。日本は米国の官民連携、エコシステムから学ぶべき。日本政府は、新しい資本主義を実現するためにイノベーションに力を注ぐと主張しているので、しっかり実現して欲しい」と主張なさいました。それを受けて、厚労省の伊原局長は「日本はバイオ医薬品の開発で遅れを取ってしまった。国民の理解を得て、医療提供体制をどのように整えていくかが大切」との発言の後、米国保健福祉省のディスブロー局長は「官民連携を上手に行うには、互いの合意の中で、同じ方向性で一貫性を貫き、リスクを評価していくことが大切」と主張。その後、AMEDの三島良直理事長、内閣府の八神局長、PMDAの藤原康弘理事長から次々発言があり、質疑については米国商務省のダイアン・ファレル副次官にお答え頂きました。

ラウンドテーブルの閉会の挨拶として、島村大厚生労働大臣政務官、在日米国大使館レイモンド・グリーン首席公使、PhRMAのデイビット・リックス会長にお話し頂き、最後に司会役の私も一言申し上げました。「大変実りあるディスカッションになった。日米は、親密な同盟国で志を同じくするパートナーだ。とりわけ世界はコロナにより、ヘルスケア分野において二大創薬国である日米に大いに期待している。今回は、米側から日本の創薬力を高めるためには、薬価などを含む政策面での改善が急務であるとの厳しい指摘が多くなされた。日本側からも、岡田製薬工業協会会長からも同じ主張がなされた。これを受けて、ディスカッションでは厚労省側からの多くの発言があった。この発言の多さは、指摘された政策について改善していきたいとの日本側の強い意思の表れと受け取れる。今回のラウンドテーブルで共有された課題を、次回のラウンドテーブルでは、日米両国がどのように政策に活かしていったのか報告する場としたい。世界のためにも今後も対話を継続して、創薬のエコシステム実現の階段を、日米両国がしっかり登っていきたいと思う。」と言って会議を閉めました。次回のラウンドテーブルの開催で、どのような報告がなされるのか、非常に楽しみです。会議を終えて、アメリカは「創薬エコシステムを実現するパートナーとして間違いなく日本を選んでいる」と、確信が持てました。あとは我が国が薬価をはじめとする政策面でどれだけ改善できるかがポイントだと考えます。

国会議員のバッチを外しても、製薬業界のために役立つ仕事もできるのだと、私自身も気づかされた会議でした。司会の機会を頂きましたこと、心より感謝申し上げます。2回に分けて、報告を読んで頂きありがとうございました。