少子化対策へ提言
少子化対策

少子化対策へ提言

「健康上の理由」で妊娠を諦めたという方は、不妊に悩む方とほぼ同数程度存在します。これを解決するため1. 妊娠と薬情報センターので相談できる仕組みづくり 2. 相談窓口の広報の強化 3. 妊産婦期の医療費支援 4. 持病を持つ女性の妊娠・出産や妊産婦と薬に関する情報の充実化について提言にまとめました。

岸田総理は衆議院予算委員会で「次元の異なる少子化対策に取り組みます。次元の異なるという意味は従来では比較的関心の薄いとされてきた男性や企業・高齢者・単身者なども巻き込んで政策を進め、社会の雰囲気を変えるところまで持って行かなければ評価されないと考えている」と発言されました。それを聞いた私は有効な少子化対策として、自民党へ一つの提言をすることにしました。

理想の子どもの数を持てない理由として「健康上の理由」と答えた方は、不妊に悩む方と同数程度存在します。国立社会保障・人口問題研究所の「第14回出生同行基本調査」によると「欲しいけれどできない」19.3%、「健康上の理由」18.6%と数字に表れています。不妊が原因で「欲しいけれどできない」という声に対しては2022年度診療報酬改定により一般不妊治療と生殖補助医療が保険適用されることになりました。

次に取り組むべきは生みたいのに「健康上の理由」であきらめている人を救うことではないかと考えました。 

「健康上の理由」という方をさらにひも解いて見ると、多くの「慢性疾患を持つ妊娠適齢期の女性」の存在に気がつきます。出産の高齢化が進む日本では何かしらの疾患を持つ妊婦の割合は増加傾向にあります。患者数調査によるデータでは、妊娠出産適齢期の女性が188万3千人に対して、人口比で10.5人に一人が何かしらの疾患を抱えています。妊娠・出産が可能な状態であったとしても、適切な情報を得られず薬の影響などを恐れて子どもを持つことをあきらめる状況が少なくないと考えられます。仮に自らが治療を受けている専門医に相談をしても、妊婦より胎児の健康により気を使い、妊婦の健康は度外視されているとの指摘さえもあります。その対策を講じ、改善することは、有効な少子化対策となると考えます。

別の角度から見ると、日本では妊産婦が薬を飲むことへの抵抗感が根強く、妊産婦へ禁忌薬は米国の約5倍もあると言われています。海外では妊娠女性が普通に使っている薬を日本では使えないという現状があります。

また妊娠・授乳中の服薬に関する情報機関「妊娠と 薬情報センター」の外来で、「相談前後で妊娠に 対する気持ちがどう変化したか」を調査したデータ によると、相談の段階で「妊娠継続を5割以上諦 めていた人」が30%いましたが、カウンセリングを受ける ことで3%に減少しました。(成育医療センター妊娠と薬情報センターによる利用者(1,000例)への調査)カウンセリングの重要性と その効果の高さがまさに示された数字だと思います。 しかし、予測される患者数に対して相談件数は非 常に少なく(約2000件/年*2)、相談料が有料 かつ自費診療であるため、若い世代への経済的な負担が大きいことや、多くの妊婦に知られていない というセンターの広報の問題など、必要な予算が賄われていない現状があるのではと推察されます。

昨今はコロナ禍により出生数減少が顕著です。このような状況下で慢性疾患を持つ女性やそのカップルが適切なサポートを受けられるかどうかは深刻な課題です。仮に慢性疾患を持つ挙児希望の女性が、2,000人(妊娠と薬情報センター年間相談件数)出産できたと仮定するならば、年間2万人程度減少する出生数に対して減少幅を 10%削減でき、有効な少子化対策となります。

そのためには1. 妊娠と薬情報センターの実質無料化と相談できる仕組みづくり 2. 相談窓口の政府および自治体広報の強化 3. 妊産婦期の医療費経済支援 4. 持病を持つ女性の妊娠・出産や妊産婦と薬に関する情報の充実化に向けた予算措置を提言にまとめて自民党に提出しました。

薬剤師の先生方もぜひこの提言にご賛同いただき、お力を貸して頂ければ幸いです。