大阪都構想の問題点
政治活動

大阪都構想の問題点

東京23区長のうち22人が変えたい・やめたいと思っている都の制度(平成23年12月18日東京新聞)を、なぜ住民投票までして大阪が導入したがっていることに、多くの東京都民(区民)は不思議に思っています。東京都杉並区議を経験 […]

東京23区長のうち22人が変えたい・やめたいと思っている都の制度(平成23年12月18日東京新聞)を、なぜ住民投票までして大阪が導入したがっていることに、多くの東京都民(区民)は不思議に思っています。
東京都杉並区議を経験した私が、5月17日の住民投票前に「大阪都構想」について3つの問題点を以下にまとめました。

①大阪都構想は未だゴールが定まっていない。
「大阪都構想さえ実現すれば、東京のようなバラ色の大阪になれる」政治家としてこんなにも無責任な主張はありません。この道具さえ手に入れれば、素晴らしい家が出来る・・・そのように煽って仮に道具を手にしても・・・素晴らしい家が、藁葺の家か、木造の家か、鉄筋コンクリートの家か、何も決まっていなければ、適した道具を手にすることは出来ないのです。
どんな大阪になりたいのか定めないまま「大阪都構想」だけを走らせようとしています。
今のままでは皆が目指すゴールがまちまちで共有されていない為、挙句の果てに崩壊することは明白です。

②「権限と財源の移譲」は都構想の肝である
今回の住民投票では、区割りのみが先行し問われていますが、都構想の重要なポイントは「権限と財源」をどこまで区に与えるかです。例えば23区には、調整三税(固定資産税、区民税法人税分、特別土地保有税)が存在し、これはすべて東京都に召し上げとなっています。例えば千代田区は、年間約2500億円もの調整三税を東京都に取られ、代わりに約35億円しか戻ってきません。市であれば本来手に入る調整三税の98.7%を東京都に持っていかれるこの制度に、千代田区民の不満は爆発し「千代田市になりたい!」と言い出したこともありました。「権限と財源をどうするか」を決めないで市民に真意を問うのには非常に違和感を覚えます。

③都構想は、二重行政の無駄以上に三重行政の無駄を生む事に
東京都は、23区の調整機関として「一部事務組合」を持っています。ここは職員の多くが都の職員で、チェック機関である議会も存在しません。従って23区は反論する手段を持たず、実質東京都に従順に従う仕組みになっています。東京都の制度とは、地方分権ではなく、中央集権強化の為に作られた制度なのです。また都の制度を導入したら、区役所、区議会、区民ホールと作らなくてはいけなくなり、二重行政を直すはずが、三重行政を生むことになるのです。

これから地方は、地域の持つそれぞれの特長を活かして、国の応援を得て「地方創生」に挑戦します。ところが、大阪市だけは自らを解体することに全力をかけることになり、新しい挑戦をする余裕は一切なくなるでしょう。これを数年繰り返したら、全国の自治体は成長し、大阪市だけ沈没していくのは明白です。一度決断したら法整備がないため、後戻りできない「大阪都構想」です。
大阪市民は一時のムードに流されず、投票前に大阪市の将来をそして子供の未来をしっかりと見据えて、一票投じて頂くことを切望します。

※東京新聞の記事を読売新聞と記載していました。
  お詫びして訂正いたします。