出口の見えない「子宮頸がん予防ワクチン」接種問題
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出口の見えない「子宮頸がん予防ワクチン」接種問題

私が厚生労働大臣政務官として関わり、退任後に積み残してしまった仕事に「子宮頸がん予防ワクチン」接種の問題があります。子宮頸がんとは、女性のがん死亡では常に上位を占めており、年間約10,000人もの方が発症し3,500人が […]

私が厚生労働大臣政務官として関わり、退任後に積み残してしまった仕事に「子宮頸がん予防ワクチン」接種の問題があります。
子宮頸がんとは、女性のがん死亡では常に上位を占めており、年間約10,000人もの方が発症し3,500人が命を落としている大変恐ろしい病気です。そして発症年齢と出産年齢のピークがほぼ重なっている為に、出産を希望する女性の夢を奪ってしまうだけでなく、女性としての人生にも大きな影響を及ぼしてしまうことになります。 

子宮頸がんを予防するには、がん検診とワクチン接種の2つの方法があります。厚生労働省は、2年に1回のがん検診を推奨していますが、残念ながら日本の検診率は僅か37.7%(20~69歳)で、米国85%、フランス71.7%と比較すると2分の1程度と、かなり低い数字となっています。(2010年国民生活基盤調査)。

もう一つの方法であるワクチン接種について、世界保健機関(WHO)は、50~70%子宮頸がんを予防出来るということで、2014年3月12日に次のような声明を出しました。「子宮頸がん予防は、公衆衛生上の優先事項であり、予防接種計画へのHPV(ヒトパピロマーウイルス)ワクチン導入を対応可能な加盟国に対し推奨する」これを受けて現在、世界の120ヶ国でワクチンは承認され、53ヶ国が公費で接種を実施しています。日本も2013年4月1日から、予防接種法の一部を改正して定期接種を開始しました。

ところが、法施行の僅か2か月後に、若い女性の激しい副反応がメディアで取り上げられ、一気に世論に火が付きました。これを受けて厚労省の副反応検討部会は「国民に適切な情報提供が出来るまで、定期接種を積極的に推奨すべきではない」と結論付け自治体に通知を出しました。当時政務官だった私は、どうしたらこの問題を乗り越えられるか必死に考え、子宮頸がんワクチンのメリットとリスク、そして副反応を見逃さないための情報を医者、本人、家族に、それぞれの立場で分かりやすいように、ターゲット別にパンプレットを作成しました。

しかし、積極的推奨を控えているため、ワクチン接種をする人が殆どいないのが現状です。現状は変わらず、我が国の子宮頸がんの罹患率、死亡率は共に先進国で一番高く、一日に約10人が命を落としているのです。
副反応を起こした方の様子や意見は全面に出てきますが、ワクチンで助かった方や命を落とした方の声が表に出てくることはありません。
この問題どのように取り組むべきか、声なき声にどのように答えるべきか、毎日子宮頸がんにかかって苦しむ方々のことを想像しながら、私も政治家としての結論が見いだせず、苦しんでいます。