公職選挙法改正にあたって
政治活動

公職選挙法改正にあたって

今国会でいよいよ選挙年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げることを柱とする公職選挙法が成立する見込みとなりました。これが実施されれば、1945年以来70年振りの年齢の引き下げです。早ければ2016年夏の参議院選 […]

今国会でいよいよ選挙年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げることを柱とする公職選挙法が成立する見込みとなりました。これが実施されれば、1945年以来70年振りの年齢の引き下げです。早ければ2016年夏の参議院選挙から実施され、240万人もの未成年が新たな有権者となります。世界では18歳で選挙権を認める国は90%以上の160カ国もあり、成人を20歳としている国は、日本を含めカメルーン、台湾など僅か5カ国しかありません。ようやく日本も遅ればせながら、国際基準に並ぶことができます。

しかし選挙年齢を引き下げることによって解決しなくてはいけない課題もいくつか出てきています。その一つは、民法と少年法の成人年齢の引き下げ問題です。例えば現在は自動車免許を18歳で認めていますが、20歳前に事故を起こしても成人ではないので、大人と同じ責任を負うことはありません。また最近起こった川崎市中1殺人事件でも主犯が20歳以下ということで少年法が適用され、責任を取ることより、保護と更生の方が優先されるようになっています。
このような矛盾を解決していくには、民法と少年法においての成人を18歳で統一していくことが必要です。

もう一つの大きな問題は、若者の投票率が極端に低いことです。
昨年の衆議院選挙の投票率では、高齢者(70~74歳)は約72%に対して、若者(20~24歳)は僅か約30%と、高齢者に比べて半数にも満たない割合しか投票に行っていません。ということは簡単に言えば、現在政治の世界には、若者の声は高齢者の半分以下しか届いておらず、このアンバランスな状況が続けば、民主主義はやがて機能しなくなってしまいます。
選挙年齢を引き下げると同時に、一票に与えられた権利の重みを自覚できるようにする教育がより必要です。

武士は元服する時に、切腹の作法を教えられたと言います。それは、大人として命がけで守らなくてはいけない人としてのけじめ、責任の取り方を学ぶ為でした。欲を絶ち、生への執着を絶ち、一心に義を思い、公に死す。
ここに日本人としての美学があったのです。大人になるということは何か、今を生きる日本人として法改正に伴い、改めて考えてみたいと思います。