エネルギーを持つ国力
政治活動

エネルギーを持つ国力

私は8月に自民党の資源・エネルギー戦略調査会のメンバーとして、米国のシェールガス革命の最前線であるテキサス州を訪れました。現地に足を踏み入れて驚いたのは、アメリカの地では「シェールガス狂想曲」が大音響で奏でられていたこと […]

私は8月に自民党の資源・エネルギー戦略調査会のメンバーとして、米国のシェールガス革命の最前線であるテキサス州を訪れました。
現地に足を踏み入れて驚いたのは、アメリカの地では「シェールガス狂想曲」が大音響で奏でられていたことでした。新たな成長産業の創出によりシェールガスの開発と周辺産業への先行投資が日本をはじめ多くの国からも積極的に行われ、人口は爆発的に増え、それに伴いオフィスの需要が追い付かず建設ラッシュを招き、テキサス州の失業率は全米平均7.5%の半分以下になり、まさに好景気を背景に街中が沸き立つような雰囲気に包まれていたのです。
シェールガスの利点は、石油や石炭のような化石燃料より熱効率が良く、そしてCO2削減への貢献も大きい点です。しかし一方で欠点として環境問題の懸念する声もありました。シェールガスを取り出すために、まず地下約3000メートル真下に掘削し、ミルフィーユのような層の重なったシェール層を目指します。層に当たれば次は真横に掘削して、爆破と水圧をかけてひび割れを人工的に起こして点在しているシェールガスを取り出します。高圧をかける水には科学薬剤を混ぜるので、地下水が汚染される、水道水にガスが混ざって出てくる、人工的にひび割れを起こすので地震を誘発する・・・等々のリスクもあります。
しかし、アメリカは資源輸出国としてエネルギー覇権を握るため、このような課題を技術開発の努力で克服しようとしていました。
シェールガスの開発事業者であるクイックシルバー社を視察時に質問をして驚いたのは、この掘削技術は特許の取得をしていない!!! とのことでした。その理由は、日々技術は進歩する上に、経験こそが強力な武器になる掘削技術では、今の技術を守るより、リスクを克服する進化を優先させる方が有効と考え、特許は必要ないと判断したからだそうです。
非常に前向きな考え方なのです。

このままシェールガスの技術が進化すれば、アメリカの貿易収支は改善され、財政赤字も減り、アメリカは経済力が復活してくるに違いありません。今まで資源外交で強気であったロシアや中東の立場は微妙になり、世界の政治のバランスすらもシェールガスという新エネルギー革命の影響を受けるのです。エネルギー政策が国だけでなく世界の政治や経済に与えるインパクトの大きさを、今回の視察で体感する事が出来ました。

日本も「資源が無い国」という固定観念を捨て、メタンハイドレート等の我が国の保有する資源に対して採算が合わないからと手を拱いているではなく、採算が合うよう知識と知恵を駆使する継続的な努力が、エネルギー問題を抱える我が国に最も必要なのだと改めてテキサスで学びました。

写真の女性はお出迎え頂いた、ファーストワース市のBETSY PRICE市長です。